職業安定法(職安法)は、求人票の「書き方」と「情報の出し方」を誤ったときに、企業も求職者も損をするのを防ぐ“採用・転職の基本ルール”です。
「求人票の記載ルール、これで合ってる?」
「この求人、何かおかしくない?」
採用活動・転職活動で、こうした不安を感じたことはありませんか。
本記事は、厚生労働省の一次情報(省令・指針)をベースに、実務で迷いやすいポイントを判断基準として整理します。
職安法は、企業のコンプライアンス担当だけのものではありません。人事担当者にとっては、求人票の適正表示・募集のルールを守り、違反リスク(指導・罰則・求人不受理等)を避けるための羅針盤になり、求職者にとっては、怪しい求人の見抜き方や権利を守るための武器になります。
また直近では、雇用仲介(職業紹介・求人媒体等)に関する省令・指針の改正で、違約金等の明示などが求められるなど、実務側の対応が進んでいます。 さらに、(予定を含む)2026年前後の改正動向として、違反企業の求人を受理しない仕組みに関する整理も進んでいます。
本記事では、職安法の目的→具体的な規制(求人票の明示・禁止事項など)→違反時のペナルティ→企業/求職者が注意すべきポイントまでを、なるべく分かりやすく解説します。
この記事を読めば、採用・求職活動に潜む法的リスクを理解し、自信を持って次の一歩を踏み出せるようになるでしょう。
- おすすめする人:採用・求人票を扱う人事/求人媒体運用者、転職者
- メリット:虚偽求人・ミスマッチ・行政処分のリスクを減らせる
- デメリット:改正頻度が高く、運用が追いつかないと違反しやすい
職業安定法とは?その目的と基本を理解する

まず、職業安定法がどのような法律で、何を目指しているのか、その根幹部分から見ていきましょう。
後藤さん職安法は「採用の入口」を整える法律。求人票の正確性、募集・紹介の適法性、禁止される労働者供給の回避が中心テーマ。ここを外すと、ミスマッチだけでなく行政指導・信用毀損につながる。まず“入口の交通ルール”として全社共通言語化するのが最短。
職業安定法の目的は「公正な労働市場」の実現
職業安定法の第一条には、その目的が明確に記されています。要約すると、「すべての国民が、それぞれの能力に適した職業に就く機会を得られるようにすること」そして「産業に必要な労働力を確保し、雇用の安定を図ることで、経済と社会の発展に貢献すること」です。
つまり、企業と働く人々の間に公正なマッチングの仕組みを構築し、労働市場が円滑に機能することを目指す法律です。これにより、求職者は不当な条件で働くことを強いられず、企業は必要な人材を適正なルールのもとで確保できるようになります。
時代と共に変化してきた職業安定法の歴史
職業安定法が制定されたのは1947年。その前身には、戦時中の労務動員を目的とした法律もありました。しかし、日本国憲法が保障する「職業選択の自由」の理念に基づき、労働者の保護と自由な職業選択を支援する現在の形に生まれ変わりました。
制定以来、働き方の多様化や社会情勢の変化に対応するため、何度も改正が重ねられてきました。近年では、インターネット求人サイトの普及や新たな働き方の登場に対応するための改正が頻繁に行われており、常に最新の情報をキャッチアップすることが不可欠です。
職業安定法を支える3つの柱「職業紹介・労働者募集・労働者供給」

職業安定法は、労働市場における主要な3つの活動を規制の柱としています。それぞれの定義とルールを正確に理解することが、法律遵守の第一歩です。
- 職業紹介=あっせん(許可/届出の世界)
- 募集=直接/委託の勧誘(条件明示が要)
- 労働者供給=原則禁止(中間搾取防止
職業紹介:企業と求職者をつなぐ「あっせん」
職業紹介とは、求人者(企業)と求職者(働き手)の間に立ち、雇用関係が成立するように「あっせん」する行為を指します。具体的には、ハローワークや民間の人材紹介会社(エージェント)が行うサービスがこれにあたります。
職業紹介事業を行うには、厚生労働大臣の許可(有料の場合)または届出(無料の場合)が必要です。これは、悪質な事業者が介在し、求職者が不利益を被ることを防ぐための重要な仕組みです。
労働者の募集:企業が直接働き手を「勧誘」する行為
労働者の募集とは、企業が労働者になろうとする人に対し、自社の従業員になるよう直接または第三者に委託して「勧誘」する行為です。自社の採用サイトや求人広告、就職説明会などが典型的な例です。
この募集活動においては、求職者が誤解することのないよう、労働条件を正確かつ明確に提示する義務があります。特に、賃金や業務内容、就業場所などに関する虚偽の表示や誇大な広告は厳しく禁止されています。
労働者供給:原則禁止されている「供給」と「支配」
労働者供給とは、供給契約に基づき、労働者を他人の指揮命令下で働かせる行為です。これは、労働者派遣を除き、職業安定法第44条で原則として禁止されています。
歴史的に、労働者供給は中間搾取(ピンハネ)や強制労働の温床となり、労働者の人権を侵害するケースが多発したためです。例外的に、労働組合などが厚生労働大臣の許可を得て無料で行う場合のみ認められています。この原則を理解することは、後述する「偽装請負」などの違法行為を避ける上で極めて重要です。
後藤さん採用プロセスを工程表にして「誰が、何を、どの根拠で」やっているかを可視化しましょう。求人媒体・人材紹介・業務委託の3ルートが混在すると、違法境界を踏みやすい。社内の問い合わせ窓口(人事/法務)を一本化し、迷ったら即相談できる導線を作るのが最強です。
【重要】労働者供給と人材派遣(労働者派遣)の決定的な違い
「労働者供給」と「人材派遣」は、どちらも自社の労働者を他社で働かせる点で似ていますが、法律上は全く異なるものです。その違いを正しく理解しないと、意図せず違法な「労働者供給」を行ってしまうリスクがあります。
両者の最大の違いは、労働者派遣が「労働者派遣法」という別の法律によって厳格なルールの下で例外的に許可されているのに対し、労働者供給は職業安定法で原則禁止されている点です。
| 項目 | 労働者供給事業(原則禁止) | 労働者派遣事業(人材派遣) |
|---|---|---|
| 法的根拠 | 職業安定法(原則禁止) | 労働者派遣法(許可制で適法化) |
| 契約関係 | 供給元と労働者の間に雇用関係がない場合がある。契約関係が曖昧になりがち。 | 派遣元と派遣労働者の間に明確な雇用関係がある。 |
| 目的 | 労働者の保護のため、中間搾取や強制労働の温床となることを防ぐ目的で禁止。 | 労働力需給の調整や多様な働き方の提供を目的とし、厳格な規制の下で許可。 |
| 許可要件 | 労働組合等が無料で行う場合のみ、厚労大臣の許可で例外的に可能。 | 厚労大臣の許可が必須。資産要件や事業所の面積など厳しい基準をクリアする必要がある。 |
| 典型的な違法行為 | 偽装請負、二重派遣 | 無許可での事業運営、日雇い派遣の原則禁止違反など。 |
このように、人材派遣は派遣元と労働者の間に雇用関係が維持され、労働者派遣法のルールに則って運営される適法な事業形態です。一方、この枠組みから外れた形態は違法な労働者供給と見なされる可能性があります。
【2026年施行】職業安定法・関連法の最新改正ポイント

労働市場の変化に対応するため、法改正は常に行われています。ここでは、特に企業の人事担当者が押さえておくべき2026年施行の最新情報と、2024年の重要改正を解説します。
- 2024/4:業務・場所の「変更範囲」等を追加明示
- 2026/4:職業紹介責任者の兼任(新設×条件付き)
- 2026/10:カスハラ等の対策強化(関連法)
2026年4月施行:職業紹介責任者の兼任規制緩和
有料職業紹介事業では、これまで事業所ごとに専任の「職業紹介責任者」を配置することが義務付けられていました。しかし、規制改革の一環として、2026年4月1日より、新設事業所に限り、一定の条件下で責任者の兼任が認められます。
この緩和措置は、事業者の負担を軽減し、新規事業所の設立を促進することが目的です。ただし、兼任には「兼任期間は最大2年」「兼任する責任者は通算10年以上の実務経験が必要」といった厳しい要件が設けられており、あくまで一時的な措置である点に注意が必要です。
後藤さん改正は求人票・紹介事業の運用を直撃する。2024/4の明示追加はテンプレ改修が必須。紹介責任者の兼任は条件が細かく、制度理解なしに運用すると危険。さらに2026/10のハラスメント関連は採用以前に職場整備が問われる。改正=フォーマット更新と教育がセット。
2026年10月施行:ハラスメント対策強化と求人不受理
企業の採用活動に大きな影響を与える改正が、2026年10月1日に施行されます。これは、労働施策総合推進法の改正と連動し、企業のハラスメント対策を抜本的に強化するものです。
カスタマーハラスメント(カスハラ)対策の義務化
顧客や取引先からの著しい迷惑行為、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」から従業員を守るための対策を講じることが、事業主の義務となります。具体的には、相談体制の整備や対応マニュアルの作成、従業員への研修などが求められます。
就活生等へのセクハラ防止と求人不受理
さらに、就職活動中の学生など、労働者ではない求職者に対するセクシュアルハラスメント(セクハラ)の防止措置も企業の義務となります。
最も重要な点は、これらのハラスメント対策義務に違反し、適切な対応を怠った企業に対して、ハローワーク等がその企業の求人申込みを受理しない(求人不受理)という強力な措置が講じられることです。これは、企業の採用活動に直接的な打撃を与えるため、早急な社内体制の整備が不可欠です。
【復習】2024年4月施行の労働条件明示ルール
2024年4月1日からは、求人募集時や労働契約締結時に明示すべき労働条件が追加・明確化されています。これは求職者の保護を強化し、入社後の「こんなはずではなかった」というミスマッチを防ぐための重要な改正です。
主な変更点は以下の通りです。
- 変更の範囲の明示: 雇入れ直後の業務内容や就業場所だけでなく、将来の配置転換などによって変更されうる業務・就業場所の範囲を明示する必要があります。
- 更新上限の明示: 有期労働契約の場合、契約の更新回数や通算契約期間の上限の有無とその内容を明示しなければなりません。
- 無期転換ルールの明示: 無期転換申込権が発生する契約更新のタイミングごとに、無期転換を申し込める旨と、無期転換後の労働条件を明示することが義務化されました。
これらの情報を求人票や労働条件通知書に正確に記載することが、企業には求められています。
知らないと危険!職業安定法に違反した場合の罰則と行政処分

職業安定法は、違反行為に対して厳しい罰則を定めています。意図的でなくても、知識不足から法令違反を犯してしまうケースは少なくありません。ここでは、主な罰則と具体的な違反事例を紹介します。
後藤さん違反は「罰金で終わり」ではなく、業務停止や許可取消、両罰規定で法人責任まで波及するのが本当の怖さ。虚偽求人や無許可紹介、違法供給は典型事故で、SNS時代は炎上→通報→調査の速度が速い。法務任せにせず、現場運用で潰すのが現実解。
違反内容に応じた行政処分と刑事罰
違反の程度や悪質性に応じて、行政処分や刑事罰が科されます。特に、企業の代表者や従業員が違反行為を行った場合、行為者本人だけでなく法人も罰せられる「両罰規定」がある点に注意が必要です。
| 罰則の種類 | 刑罰の内容 | 主な違反行為の例 |
|---|---|---|
| 刑事罰(重) | 1年以上10年以下の懲役 または 20万円以上300万円以下の罰金 | 暴行や脅迫による職業紹介・労働者供給。公衆道徳上有害な業務(特殊詐欺の実行役など「闇バイト」の募集)への紹介。 |
| 刑事罰(中) | 1年以下の懲役 または 100万円以下の罰金 | 無許可での有料職業紹介事業。禁止されている労働者供給事業(偽装請負など)。事業停止命令違反。 |
| 刑事罰(軽) | 6ヶ月以下の懲役 または 30万円以下の罰金 | 虚偽の広告や条件を提示して募集した場合(いわゆる「ダミー求人」)。改善命令違反。 |
| 行政処分 | 業務改善命令、事業停止命令、許可の取り消し | 労働条件の不適切な明示、事業報告書の未提出、法令違反の是正勧告に従わない場合など。 |
具体的な違反事例から学ぶリスク
- 事例1:虚偽求人(ダミー求人)
全国で保育所を運営する企業が、実際には募集していない「園長」という好条件の求人を掲載し、応募者を集めてから別の一般保育士のポジションを案内していた。これは「虚偽の条件提示」にあたり、罰則の対象となり得ます。 - 事例2:無許可の労働者供給(偽装請負)
IT企業が業務委託契約を結んだエンジニアを、契約先企業のオフィスに常駐させ、その企業の社員から直接業務の指示を受けさせていた。実態が労働者派遣でありながら許可を得ていないため「偽装請負」と判断され、違法な労働者供給として罰せられます。 - 事例3:「闇バイト」募集
SNSで「高収入」を謳い、特殊詐詐の受け子や出し子を募集した者が、職業安定法違反(公衆道徳上有害な業務への募集)の疑いで逮捕された。これは最も重い罰則が適用される悪質なケースです。
これらの事例は、法律違反が企業の信用を失墜させ、事業継続を困難にする重大なリスクであることを示しています。
企業の人事担当者が遵守すべき3つの重要ポイント

採用活動を適法かつ円滑に進めるために、人事担当者が特に注意すべき点を3つに絞って解説します。
1. 求人票の記載ルール:必須項目とNG表現の徹底理解
求人票は、求職者が最初に目にする企業の顔です。職業安定法や関連法規に基づき、記載すべき事項と、記載してはならない事項が厳格に定められています。
【必須記載事項の例】
- 業務内容(変更の範囲を含む)
- 契約期間(更新上限の有無・内容を含む)
- 就業場所(変更の範囲を含む)
- 就業時間、休日、時間外労働
- 賃金(固定残業代を含む場合はその内訳を明記)
- 加入保険(社会保険・労働保険)
- 募集者の氏名または名称
- 受動喫煙防止措置の状況
【NG表現の例】
- 性別による差別: 「男性歓迎」「女性限定の職種」など(男女雇用機会均等法違反)
- 年齢による差別: 「30歳まで」など原則禁止(例外事由の明記が必要)
- 特定の属性による差別: 国籍、心身の障害、社会的身分などを理由とする差別的な表現
- 誇張・虚偽表現: 「誰でも月収100万円可能」のような誤解を招く表現
求人票を作成する際は、これらのルールを遵守し、常に正確で最新の情報を提供するよう心がけてください。
2. 面接での質問:聞いてはいけないことの境界線
採用面接は、応募者の適性や能力を見極める重要な場ですが、質問内容には法的な配慮が求められます。応募者の基本的人権を尊重し、就職差別につながるおそれのある質問は避けなければなりません。
厚生労働省は、以下の事項に関する質問を不適切としています。
- 本籍・出生地に関すること
- 家族に関すること(職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産など)
- 住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)
- 生活環境・家庭環境などに関すること
- 思想・信条に関すること(宗教、支持政党、人生観、尊敬する人物など)
- 労働組合・学生運動など社会活動に関すること
- 男女雇用機会均等法に抵触する質問(結婚・出産の予定など)
これらの質問は、応募者の適性や能力とは無関係であり、予断や偏見に基づく採否決定につながるため、厳に慎むべきです。
3. 個人情報の適切な取り扱い
採用活動では、履歴書や職務経歴書など、多くの個人情報を取り扱います。職業安定法第5条の4では、求職者の個人情報の取り扱いについて、以下の通り定めています。
- 収集・保管・使用は、業務の目的達成に必要な範囲内で行うこと。
- 収集目的を本人に明示し、その目的の範囲内で利用すること。
- 人種、信条、社会的身分、病歴など、特別な配慮を要する個人情報の収集は原則禁止。
- 個人情報が漏洩したり、不正に利用されたりしないよう、適切な安全管理措置を講じること。
後藤さん求人票は“必須項目が埋まっているか”を機械的にチェックできる形にし、面接は“聞かないリスト”を配布、個人情報は“保存先・権限・期限・破棄”を決める。これだけで大半の事故は防げます。個人の善意に頼らず、仕組みで守る設計に変えるのが実務の勝ち筋です。
収集した個人情報は、採用選考という目的以外で本人の同意なく利用することはできません。不採用となった応募者の個人情報は、責任を持って破棄または返却するなど、適切な処理が必要です。
求職者が自身の権利を守るために知っておくべきこと

職業安定法は、企業を規制するだけでなく、求職者を守るための法律でもあります。転職活動を成功させるために、求職者が知っておくべきポイントを解説します。
後藤さん求職者は「条件の曖昧さ」「固定残業の内訳欠落」「面接の地雷質問」の3つを赤信号として見抜く。違和感は記録し、ハローワークや労働局など公的窓口に相談することで安全に是正へつなげられる。法律は“知ってる側”が強いので、最低限の型を持つのが防具。
ブラック求人を見抜くためのチェックポイント
求人情報の中には、労働条件が実態と異なっていたり、違法な内容が含まれていたりする「ブラック求人」が紛れていることがあります。以下の点に注意して、求人情報を慎重に見極めましょう。
- 給与の記載が曖昧: 「月給25万円~」のように上限が不明確、または「固定残業代」の内訳(時間数、金額)が明記されていない。
- 業務内容が不明確: 「企画営業」「総合職」など、具体的に何をするのか分かりにくい。
- 抽象的な言葉が多い: 「アットホームな職場」「やる気次第で高収入」など、客観的な事実に基づかない表現を多用している。
- 募集期間が異常に長い: 長期間同じ求人が掲載され続けている場合、離職率が高い可能性があります。
- 労働条件が頻繁に変わる: 募集のたびに労働条件や待遇が変更されている。
少しでも疑問に感じたら、面接の場で具体的に質問し、納得できる回答が得られるかを確認することが重要です。
トラブル発生時の相談窓口
万が一、求人内容と実際の労働条件が違っていたり、面接で不適切な質問をされたりした場合は、一人で抱え込まずに専門機関に相談しましょう。
| 相談窓口 | 主な相談内容 |
|---|---|
| ハローワーク(公共職業安定所) | 求人票に関する問題、職業紹介事業者とのトラブル。全国のハローワークに設置されている「求人者指導官」が対応します。 |
| 都道府県労働局 | 労働条件に関する全般的な相談、個別労働紛争のあっせん。総合労働相談コーナーが設置されています。 |
| 労働基準監督署 | 賃金不払いや違法な時間外労働など、労働基準法違反が疑われる場合の申告。 |
| 法テラス(日本司法支援センター) | 法的なトラブル全般について、無料で情報提供や相談窓口の案内を受けられます。 |
これらの窓口は、匿名での相談も可能です。自身の権利を守るために、ためらわずに活用してください。
最新トレンドと職業安定法の未来

働き方が多様化する現代において、職業安定法も新たな課題に直面しています。
フリーランス・ギグワーカーと職業安定法の関係
フリーランスやギグワーカーは、企業と雇用契約を結ばない「個人事業主」として働くことが多いため、原則として職業安定法が定める「労働者」には該当しません。しかし、契約形態は業務委託でも、実態として企業の指揮命令下にあると判断されれば「労働者」と見なされ、職業安定法を含む労働関係法令が適用される可能性があります。
この「労働者性」の判断基準については、厚生労働省で見直しが進められており、今後の動向が注目されます。企業がフリーランスを活用する際は、偽装請負と判断されないよう、業務の独立性を確保するなど適切な契約管理が不可欠です。
AI採用と職業安定法の今後の展望
AIを活用した採用選考が広がる中、新たな法的論点も生まれています。例えば、AIが学習データに含まれる偏見を再現し、特定の属性を持つ応募者を無意識に差別してしまうリスクです。
企業は、AIを利用する場合でも、職業安定法や男女雇用機会均等法が禁じる差別的な選考を行わないよう、AIシステムの公平性や透明性を確保する責任を負います。今後、AIの活用ルールについても法的な整備が進む可能性があります。
職業安定法に関するQ&A

- ハローワークは職業安定法においてどのような役割を担っていますか?
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ハローワーク(公共職業安定所)は、職業安定法に基づき国が運営する行政機関です。国民に安定した雇用機会を確保することを目的とし、無料の職業紹介、雇用保険の手続き、求人情報の管理・指導など、法律の理念を実現するための中心的な役割を担っています。
- 職業安定法について、社会保険労務士(社労士)に相談するメリットは何ですか?
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社会保険労務士は、労働法規の専門家です。企業にとっては、求人票のリーガルチェックや最新の法改正への対応、採用に関する社内規程の整備など、コンプライアンス遵守のための具体的なアドバイスを受けることができます。求職者にとっても、労働トラブルに関する相談相手として心強い存在です。
- 職業安定法と労働基準法はどう違うのですか?
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職業安定法が「雇用の入口(募集・採用・紹介)」に関するルールを定めているのに対し、労働基準法は「雇用の成立後(労働条件、労働時間、休日、解雇など)」の最低基準を定めています。両者は密接に関連しており、公正な雇用関係を築くための車の両輪のような法律です。
まとめ

職業安定法は、企業と求職者が安心して採用・求職活動を行うための、いわば「労働市場の交通ルール」です。企業にとっては、このルールを正しく理解し遵守することが、法的リスクを回避し、社会的な信頼を得て持続的に成長するための基盤となります。一方、求職者にとっては、自身の権利を守り、より良いキャリアを築くための知識となります。
特に2026年にかけて施行されるハラスメント対策の強化など、法改正の動きは止まりません。本記事を参考に、常に最新の知識をアップデートし、公正で健全な採用・求職活動を実践していきましょう。


